2024年5月1日

現在でも通じる忍術~方言編~

NINJA

現代の日本には標準語があり、標準語が通用しない地域はほとんどありません。普段話す言葉も、標準語と呼べる言葉を話す人がほとんどです。
しかし、沖縄や東北地域のなどの方言は、その土地に住んでいないと理解するのが難しいところもあります。
沖縄方言や津軽弁などを、ご年配の方々が話している様子を見ると、何を話しているのか、私はさっぱり理解できません。
現代の私たちは、分からない言葉についてインターネットで調べることができますが、戦国〜江戸時代の忍者はそうではありませんでした。

当時の忍者にとって、方言は聳え立つ壁でした。
忍者は任務を任されたら、任務地の言葉や風習を時間をかけて学びました。外から来たあやしい人間だと思われないようにするためです。
あやしい人だと感づかれたら、情報が得られません。

実際にあった、失敗例をご紹介します。

1673年の島原の乱

この時も忍者は暗躍していました。幕府軍の総大将ろして板倉重昌が派遣されましたが戦死し、
変わって老中松平信綱が赴きました。その際に甲賀者10人が同行し、
一揆軍がたてこもる原城内部の状況を探ることを命じられました。

近江国甲賀から来た陰形の者が城の中に入ろうと、毎晩忍び寄りましたが、城中の人々は「西国語」を話し、
さらにはキリスト教の文言を唱えているので理解することができませんでした。
そしてある夜、甲賀者が城内に忍び込もうとしたところを見つかってしまい、石をさんざん投げ釣られたとのことです。

甲賀者は九州弁が分からなかったので、任務に失敗してしまいました。

現代において言葉が分からず、命の危機に陥るということは、日本国内で過ごしていればほとんどないでしょう。
国内出張ならば、事前にその地域で話している方言を勉強しようと思う方は少数派なのではないでしょうか。

しかし、日本以外の国へ急遽行くことになった場合は、時間の許す限り、その国のことを調べますよね。
幸い、今の私たちにはインターネットという便利なものがあります。言語も機械翻訳に頼ることができます。
しかし、やはり現地の人々の使う言葉や慣習、仕草を覚えれば、覚えない人より、覚えた人のほうが豊富な情報を得られます。
私たちは忍者ではないので、完璧に現地に溶け込むことは必要ありませんが、できるだけその地域に馴染もうとする努力が必要ですね。
そなえあれば憂いなし、郷に入れば郷にしたがえ、の精神で乗り来ましょう!