2024年2月24日

忍術書とは

忍術書とは、忍者や忍術に関する技術や知識を記した書物のことです。これらの書物には、忍者が用いたとされる様々な技術や戦術、暗号、偽装、間諜活動などに関する内容が記されています。忍者は秘密裏に活動したため、その技術や知識は口伝や書物を通じて後世に伝えられてきました。忍術書には、忍者がどのような活動を行い、どのような特殊な技術や知識を持っていたのかを知る上で貴重な資料とされています。

・忍術書と中国の関係
忍術書と中国の関係は複雑で、一部の忍術や忍者の技術が中国の武術や軍事思想から影響を受けているとする見方もありますが、忍術書自体が中国に起源を持つとは言い切れません。
一部の研究者は、忍者の起源が中国にあると主張しています。彼らは、中国の武術や軍事思想が日本に伝わり、忍者の技術や活動に影響を与えたと考えています。例えば、中国の武術には気功や体術があり、これが忍者の特殊な技術や身体能力の基礎となったとする説もあります。

例えば、忍術の百科事典『万川集海』には、中国最古の兵法書である『孫子』が数多く引用されていると言われます。孫子は紀元前5世紀頃に生きた中国の軍事思想家である孫武(そんぶ)によって著されたとされる兵法書で、戦術や兵法に関する基本的な考え方が記されています。孫子は、兵法書の中でも最も有名であり、古代中国の軍事思想や戦争の本質について深く探求した内容が特徴です。
万川集海は全22巻で、伊賀と甲賀に伝わる忍術を集大成した秘伝書です。著者は伊賀東湯舟の藤林保武で、延宝4年(1676)に著されたとされます。
忍術書の具体的な起源や内容については諸説あり、中国との直接的な関連性ははっきりしていません。忍術書は主に日本において発展し、忍者の活動や技術を伝えるために書かれたものとされています。
三大忍術書として『万川集海(まんせんしゅうかい)』、『忍秘伝(にんぴでん)』、『正忍記(しょうにんき)』があります。
忍秘伝は全4巻で、忍術を説明する各論で成り立ち、具体的な技法を教授するものです。現代語訳版も市販されています。承応4(1655)年に服部美濃部三郎らがまとめていたとされています。
正忍記は延宝9(1681)年に紀州藩で軍学者を務めた人物である名取正澄によって書かれたとするもので、全3巻の構成です。忍びのあり方や現実的で実銭的な忍術について記されているとされます。
これらの書物は、忍者や忍術に関する古典的な文献として知られており、忍者文化や歴史を理解する上で重要な資料とされています。