NINJA
人間には五感があり、忍術では「第六感」をも養えるとされています。人間の五感とは次の通りです。・視覚 目で見ること・聴覚 耳で聞くこと・臭覚 鼻で嗅ぐこと・味覚 舌で味わうこと・触覚 皮膚に触れる感覚
では第六感とは何でしょうか?一般的に第六感と言えば、霊が見える力、直感力など、五感以外の感覚を指すことが多いでしょう。
私が参考にしている本「忍者学研究」には忍者が考える第六感については明記されていませんが、戦国時代~江戸時代の人々は、私たち現代人のような科学的思考・常識は持っていなかったと思われます。現代人から見れば科学的根拠のない迷信のようなものを、本気で信じていた人もいたはずです。現代でも、科学が万能かと言われればそうではありませんが、私たちはそれが一番信用に値するものだと思っています。
当時の人々にとって、第六感、霊や神仏はもっと身近なものであり、五感と同じくらい第六感も大切な感覚の一つだったのでしょう。
第六感の前に、当時の忍者が五感を鍛えた方法について書いていきたいと思います。
視覚
まずは視覚の向上についてです。「明眼之法」という修行は、遠近、左右、上下、八方、周囲を見ることを繰り返し行い、目の働きを円滑にするものです。具体的なやり方については下記の通りです。
1. 目の前に立てた親指を見て、次に遠くの山を見る。
2. 指を立てた手を自分の周りに動かし、あらゆる方向に位置する指を見ることを反復する。
こうすることで、眼筋や毛様体の働きを促し、目の遠近調整機能を高めて視野を広げる効果が期待されます。現代では仮性近視の方にも効果があるそうです。
暗視能力を向上する修行もあります。「闇夜之習い」と称する様々な技術も伝えられてますが、多くは非科学的なものが多いそうです。
糸でぶら下げた穴開き銭を揺らし、穴を目で追ったり、棒を穴に通したりして胴体視力を養う修行や、頭を動かさずに障子の桟を上下左右に素早く目で追う修行もあります。温めた両手をまぶたに軽く当てて、眼球を上下左右に動かしたあと、目の周りを指で、全体を手のひらで押さえるものもあります。
※現代では決して行ってはいけない修行もあります。やっていけないと言われるとやってみたくなる方もいるのではないかと思いますが、この方法は本当に危険なのでたらないでください。危険な修行は「灯火目付け」と呼ばれる修行で、そうろくの火を長時間注視したり、白昼の太陽を見たりするものです。最悪の場合失明します。
聴覚
聴覚の向上には、針を砥石などの硬い物に落とした音を聞き取り、数を数える「小音聞き」という修行があります。最初は修行者自身で針を落とし、慣れてきたら他の者に遠くで針を落としてもらいます。この修行を極めれれば、小さな音や声から不穏な状況を察して危険を回避したり、大勢の会話から特定の人物の声を聞き取ったりできるようになります。
臭覚、味覚、触覚を鍛える修行もあります。
今回の記事はここまでです。五感を鍛えることは、現代社会でも役に立つと思います。皆さんのお役に立てれば嬉しいです。