NINJA
現代の日本では、レジャー以外で山道を歩く機会はあまりないのではないでしょうか?
忍者が活躍していた戦国時代は、山を越えるとき、峠道くらいしか人が歩けるようには整備されていませんでした。里でも人があまり足を踏み入れない山は身近にありました。忍者の重要な任務である諜報活動では、人目につかない道を歩く必要があるので、時には道ならざる道を歩いたのでしょう。忍者は生きて情報を持ち帰ることが任務です。忍術には攻撃に関する忍術はもちろんのこと、無事に帰る忍術もたくさんあります。
目次
1.見知らぬ山で道を見失ったときの忍術
まず辺りを良く観察します。里へと続く重要な道は、人が頻繁に行き来するため、道にわらじの足跡や、牛馬の沓跡や糞がないか地面を見ます。そして、森の獣たちの様子も観察します。鳥やその他の動物が、人をひどく恐れないか? 恐れる場合、例えばすぐに鳥が飛び立つなどの場合は人通りが多い道という手掛かりになります。 そういった痕跡を探して、道を見つけます。
道の整備の状態から、里への距離を察することもできました。
切り株の切り口が新しかったり、草の生え方が段々になっていれば、人の手が入っているということになり、里が近いということです。
2.道を覚える忍術
山中を歩くときは、迷わず戻れるように道を覚えながら進みます。道を覚えるために、特徴ある植物や、景色を目印として記憶します。印象に残る物がなければ、自分で目印をつくります。「枝を折る」「ナタで木を傷つける」「足跡をつける」「足元の草を結んでおく」などです。
間違えて脇道に入ってしまい迷いかけたら、目印のある地点まですぐに戻ります。道なき道を行くなら、ただやみくもに進むのではなく、こまめに後方を確認。ひとつ前につけた目印がまだ視界に入る場所に、次の目印をつけていきます。
3.忍者の方位磁石
忍者は通常、太陽や北極星の動きを見て、方角を見極めていました。夜ならば星、昼ならば太陽。では曇り空や雨の場合はどうだったでしょうか。そんなとき、忍者は現代でいうところのコンパスのような道具を用いて、南北を知りました。当館のにんぱくには、実際に使われていた「耆著(きしゃく)」という道具が展示されています。
耆著を水に浮かべると、ゆっくりと回転して特定の方向を示します。南北のどちらを先端にするか、あらかじめ準備しておく必要があります。準備は、耆著屈を熱してすぐに冷やします。冷やすときに、先端を南に向けていれば尖ったほうがS極になります。耆著屈ではなく縫い針を用いることもできます。
4.忍者の方位磁石を縫い針で検証
用意するもの
- 縫い針(鉄製)
- 蝋燭
- ライター
- ピンセット
- 水を入れる容器
- 方位磁石(スマホのコンパスアプリで最初試しましたが、本物の方位磁石のほうが正確です)
スマホのコンパスアプリを起動して南がどちらにあるか把握しておきます。
縫い針をキュリー温度まで上げます。鉄のキュリー温度は770℃で、ライターの火が800℃くらいです。蝋燭は火の部分によって温度が違うのですが、だいたいはライターと同じくらいなので、蝋燭で縫い針を加熱します。火傷しないようにピンセットではさみ、先端からゆっくりスライドさせていきます。
ライターで熱しても良いのですが、熱するのにちょっと時間がかかるため、蝋燭のほうが安全です。
水の入った容器に熱した針をつけます。針先は南に向けて冷やします。
さて、きちんと南を指すようにS極になったか検証します。
うーん。特定の方向を指すようになりましたが、なぜか南ではありません。なぜ?
何度も針を熱して南に針先を向け冷やしても、指す方向は、南西の方角。
と、ここでコンパスの北と南の位置が変わりました!そしてそのスクリーンショットは撮り忘れました!針先の方角に南が移動したのですが、位置がこんなに移動するなんてこのスマホコンパスは信頼できません。それとも、この場所の磁場がおかしいのでしょうか? いや、何日か前に巨大な太陽フレアが発生してGPSなどに影響を与えるとありましたが、その影響・・・?
とここで一旦、手作りコンパスの検証を諦めかけましたが、翌日ダイソーで方位磁石を買ってきました。
これで再検証です。
ほとんど南を向いていると言っていいのではないでしょうか?しかし、冷やすときに、私は南ではなく東ほうへ針の先を向けていましたが、針先は南を指しています。どうやら、冷やす方向によって好き勝手に針先の方角を変えられるわけではないようです。そして実験から1日後でも、針はしっかりと方位磁石として機能していました。原理は後ほど調べてみます。
ということで検証は成功しました!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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